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ファイナル・リーマン

本日サラリーマン最終日。
まず現場最終日。これはここ2年間で何度も経験してきたことなので、いつものごとく。直前までバタバタと作業があり、あれも残したい、あの人ともう少しゆっくり話したいと思いつつも怒濤のように時間が流れタイムアップに。
けど、押さえるべき人は押さえ、今後も付き合ってゆける土台は作れた。あとは、タイミングとか勢いとか相性とかそういう諸々次第でしょう。なんか恋愛みたいだけどね(笑
まあ、mixiもあるし、自分のサイトもあるし(認証掛けた某所同窓会コミュみたいの作りますよ)、ゆるやかに交流してゆく下地はいろいろあるのじゃないでしょうか。

で、定時後慌ただしく現場を離れ、同じ現場の女の子と一緒に退職手続きを行いに本社に向かう。
本社での対応は、噂に聞いていたとおり呆れるほど淡泊だった。そのそっけなさをネタに2人で笑っていたのだけれど、1人だったら結構ブルーになったのではとも少し思ったり・・

雑談も語りもなく、体よく本社を放り出された後、私はひとり都庁通りに向かった。
19時を少しまわったばかりの空は、吸い込まれるように青く、そしてほんの少し寂しく悲しい暗さをしていた。両手を上げ、大きく伸びをしながら空を見上げると、二本の大きな高層ビルが薄暗く青い空にまっすぐに延びているのが見えた。
仰ぎ見た青暗い世界は漠たる広さと可能性を感じさせ、同時に、七月末だというのにうっすらと肌寒い空気は心の奥にひた隠しにしている小さな不安を微かに揺らした。
「自由ってのは、こういうことを言うんだな」
と、唐突に思った。

空から視点を戻し、暮れかけた大好きな新宿の無機的なビルたちを眺めながら考えた。この記念すべき日に、何もしないで帰るなんて勿体ないことはできない、と。祝杯をあげなければいけない、と。
ゆっくりと歩きながら幾つもの祝いのパターンを考え、携帯電話を手に取った。数コールで、嫁と娘の元気な声が聞こえてきた。数十分後に落ち合う約束をし、私はそのまま再びゆっくりと歩き続けた。

NSビルやKDDIビルのある辺りまできて、私は自分自身が非常に腹を空かせていることに気づいた。
嫁たちが来るまでにまだ結構時間があるので、近くのドトールに入り、ホットカフェラテとレタスドッグを頼んだ。
出来たてのレタスドッグをむさぼりながら、何通か来ているメールにぽつぽつと返事を書く。
最後の現場で仕事は一緒にしていないけどたまたま意気投合した人、同じ会社の同じ所属の人、かつて働いた現場のプロパー、前の会社の同期、未経験から一年掛けて育てた部下、いろんな人がいろんな言葉で何かを語りかけてくれていた。
ちょうど二年前、同じように会社を辞めたけれど、そのときに比べて、いまの自分は遙かにたくさんのモノを持っているんだなと感じた。
二年前に比べると、より無茶なことをやっているなと不安に感じることもある。と、同時にどうということもないという気持ちもある。
さっき見た空と同じだな、と思う。そして、自分はどこまでゆくことができるのかと考えたら、噛みしめたような楽しさがじんわりと滲んできた。

既に暮れゆく新宿の街並みを、待ち合わせ場所のバスターミナルに向かって早足で歩き始めた。
階段を上ると、ちょうど娘と嫁の後ろ姿が見えた。
まだ気付いていない二人の背後に駆け寄り、驚かさないように軽く肩を叩いた。
少し寄り道をしてから、甲州街道の裏のお気に入りのパスタ屋に行き、グラスワインで乾杯しよう。そして時間を気にしないで、ゆっくりとパスタとピザを食べよう。
そう心に決めながら、笑顔の二人に「ただいま」と言った。

#途中からなぜ小説風?しかも偽春樹?>自分

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