教育

ある程度の年齢になると、後進の技術者の育成というのも考えなきゃならなくなりますよね。
そのへんのテーマについても1ページ作っておきます。

とある報告

以下は、&が会社に提出する用のレポートで書いたものです。
まあ酒飲みながら一晩で書き上げたものなんですが、実践の報告ということでいちおうなにがしかの参考になればと・・

平成16年度 下期報告書「メンバ教育の実践と結果報告」

1.なぜ「教育」という目標を設定したか

私自身、現在では若手の教育という作業が技術者にとって非常に重要な仕事であると考えるようになったが、もちろん最初からこのような考えを持っていたわけではない。このような考えを持つようになったのは、自分がはじめてプロジェクトのリーダとなり、新人と組んで作業を行うようになってからである。
 駆け出しのプロジェクトリーダと実務経験のない新人のコンビではじめたプロジェクトがいきなりうまくゆくはずもなく、大小幾つもの問題が次々と発生した。
 そんなとき、駆け出しリーダである私の頭にあるのは新人への非難ばかりであった。「なぜこんな簡単なことがわからないのか」「なぜもっと要領よくできないのか」「なぜきちんと報告できないのか」。
 プロジェクトが思い通りにゆかないことへの苛立ちもあり、その考えは次第に大きくなってゆくこととなった。「もっと出来る人間と組ませてもらえれば、もっと上手くやることができるのに」「この程度のプロジェクトなら、自分が2人いれば簡単にこなせるはずなのに」・・。

しかし、冷静に考えてみると上記のような仮定はそれこそ机上の空論であり、実際にはまったく意味がないということに気づいた。なぜなら、今現在のシステム開発はほとんどが人月単価でおこなわれており、たとえば上の例のような1ヶ月2人月の業務の場合、リーダクラスの人間を2名あてがうということはまずあり得ない。企業が利益を追求することは当然のことであり、私自身その利益の追求に貢献するためには自分よりも経験もスキルも未成熟な人間とこれからもずっと一緒に仕事をおこなってゆかなければならない。つまり、立場が変わったことにより仕事の質自体が変化したのだと。
 そのことに気づいてから、私は少しずつ考え方を改めるようになった。部下がなぜできないのかと非難するばかりでなく、どうすればできるようになるのか考えるようになった。もちろん、部下が成長し、仕事ができるようになれば、それだけ自分自身の負担が軽くなるということもある。それに何より、私自身だって最初は仕事のできないただの半人前の新人だったのだから。

その後、ソフトウェア開発のプロジェクト管理に興味を持ち、トム・デマルコ(著書に『ピープルウエア』や『デッドライン』など)等の著書を読んでいくうちに、ソフトウェア業界全体で、こうした教育的なはたらきも含めたコミュニケーション不全により幾つものプロジェクトが失敗しているという実例を知るようになる。
自分自身の経験を振り返ってみても、全体的に技術者はそうした他者との関わりが希薄な状態を好み、自分自身の作業に没頭する傾向が強いように思える。
しかし、こうした仕事のやり方を繰り返していてはいつまでたっても人が育たず業界全体が成熟してゆかないし、(他業界に比べても)過重労働傾向にあるこの状態は一向に改善されないだろう。
しかし、ソフトウェア業界全体などという大きな話を出したところで、私自身ができることは本当に微々たるものでしかない。しかし、自分自身が確固たる考えを持ち、それを自分の下に就いた人や仕事で関わってゆく人々に実践して伝えてゆけたら、少しずつでも何かが変わってゆくのではないかと思っている。

2.各メンバの現状分析と、教育方針の設定

私の下に配属されたメンバの情報は以下のとおり。

メンバ情報案件・期間等
T氏(中級技術者)某省庁システム:2004年10月〜11月(詳細設計〜製造)
Y氏(初級技術者)某省庁システム:2004年10月〜12月(詳細設計〜業務運用テスト)
某派遣会社人材登録システム:2005年01月〜03月(詳細設計〜リリース)

【T氏について】
とにかく人あたりが良く、誰からも好かれ、時には現場の雰囲気を潤滑にし、時にはムードメーカーとして盛り上げてくれるこの業界では数少ない貴重なタイプの人種。 グレード、年齢の割に技術的には物足りない部分はあるが、そうした部分を補って有り余る魅力を持っている。
 短所を克服するよりも長所を活かし、現場でのパイプ役・情報収集といったところに積極的に役割を見出していってほしい。また、スキル的な部分の不足を本人も自覚しているのか、実作業レベルにおいて少々自信がなく弱気になることがあるが、自分の役どころに自信を持ってまずはサブリーダ的な立ち位置を目指していってほしい。

 T氏に対しては、具体的には以下のような教育・指導の目標を設定した。

【Y氏について】
実務未経験ということなので、まずはソフトウェア開発という仕事自体に慣れてもらうことが最優先事項となる。
 性格的にはT氏とは対照的に寡黙で内向的なタイプ。しかし、細かい作業を黙々とこなしてゆくということが性格的に向いているようで、経験を積めば仕事を着実にこなしてゆく堅実な技術者となることが期待できる。
また、他業種からの転職直後と言うこともあり勉強をしようという意欲も高いため、このモチベーションが持続するようサポートしてゆけたらと思う。

 Y氏に対しては、具体的には以下のような教育の目標を設定した。

3.実践結果

【T氏について】
現場の都合もあり、T氏とは結局2ヶ月間という短い期間しかともに仕事をすることができなかった。
期間も短く現場もスケジュール的に非常に厳しい状況だったため、「教育」という形で明確な結果を残せたとは言い難いが、それでも何らかの意志は伝えられたのではないかと思う。
 T氏とは業務時間以外にも、帰りの電車やメールで非常に多くのことを語り合った。それはどうすれば現場の状況が改善されるかということだったり、どうすれば会社がより良くなってゆくかということだったりした。
 T氏自身にリーダ、サブリーダを目指してもらうという部分に関しては成果を出せなかったが、現場の状況を改善するために何をすれば良いか、自分に何ができるのかということについては、十分に伝わったのではないかと思う。
 聞いた話によると、T氏はまた私の下で作業をしたいと言ってくれているらしい。私としても、自分の持っていないT氏の才能を非常に貴重なものだと思うし、まだまだ伝えきれなかったことも多くあるため、また機会があれば一緒に仕事をしたいと思っている。

【Y氏について】
10月〜12月の某省庁システムの案件では徹夜が何度か発生するほどの稼働の高さと、オーバーチャージに関して揉める等の問題もあり、初めての実務としてはかなり厳しい現場だったと思う。しかし、その過酷な状況に挫けることもなく、どうにか着いてきてくれた。
 2005年1月からの某派遣会社人材登録システムの案件は某省庁システムとほとんど同じ構成(strutsを使用し、Webブラウザからデータベースに対し入出力をおこなうシステム)であったため、実務経験3ヶ月とはいえ着実に作業をこなしてもらえた。
 また、某省庁の案件より作業分担が少なかったことと、教育の対象がY氏ひとりであったことから、前回よりも重点的に教育・指導を行うことができた。
 その結果、「2.各メンバの現状分析と、教育方針の設定」であげた項目はほとんど実践できたのではないかと思う。

そして、その結果以下のような問題点もわかってきた。

4.今後の目標

今後、しばらくはY氏と共に作業をすることが決まっている。
そのため、短期的な解決方法ではなく、長期的な視点で着実にY氏の実力を伸ばしてゆく作業に力を注いでゆきたい。
 特に、思考のプロセス(なぜ幾つもの実装案の中からその手法を選んだのか、なぜ複数の作業のうちその作業から着手するのか等)を極力共有してゆき、最終的には私のプロジェクトのサブリーダとして活躍してもらいたいと思っている。

あとがき(2006.02.12)

転職直後のいろいろ燃えてるときの文章なんで、なんか無駄に熱いです(笑)。まあもちろん今でも熱いハートは忘れていないつもりですが。
ちなみにY氏はいまでは私の元から巣立って、ピンで現場に出て頑張っております。てゆーかここに呼んだはずなんだけど、まだ書いてくれておりません・・
T氏は以前久しぶりに再開したら、すっかり見違えていていろいろと独立系の野望に燃える漢になっておりました。ちょうど私も同じような野望や未来を描きはじめたところだったので、今後も共に協力・刺激しあい色々やってゆけたらいいねみたいな話をしたりして、やっぱり人と人が出会い影響しあい別れてゆくというのは良いモノだなあと実感した次第なのであります。

コメント




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先輩のありがたさ

ペガサス? (2006-03-12 (日) 01:16:40)

IT業界に転職してきてまもなく1年半が経過します。初現場から約1年間、&氏の背中をみてIT業界の何たるかを学んできました。今は一人で客先に常駐し仕事をしていますが、転職後1年間で得たことが本当に大きいものだと痛感してます。自分に足りないことを率直にいってくれる&氏の存在は大きいです。自分も後輩に対して、そのような姿勢で接していけたらと思います。


デマルコといえば

8810 (2006-02-16 (木) 12:57:47)

やはり、次はP.F.ドラッガーを読んでいただきたい。



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